1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学など゙にて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。2021年より、京都工芸繊維大特任准教授。
- 必修科目
- ケア実践場面分析演習
2023
12/17
ケア実践場面分析演習 作品【Face-to-Face ~素顔とつながる~】
講師:
金野千恵(建築家 / t e c o)
<実習先>
社会福祉法人 チルドレンス・パラダイス 児童養護施設 子山ホーム
<実習先の概要>
子山ホームは、千葉県いすみ市にある海が見える丘の上に建っている児童養護施設です。千葉県内の2歳から18歳までの、様々な事情により家庭で育つことのできない子ども達49名(2024年3月6日現在)が、9つのホームに分かれて生活をしています。それぞれのホームでは、保育士や指導員とともに6〜7名の子ども達が、性別も混合、年齢も縦割りに1つの家庭のように構成されています。
<実習の様子・テーマ設定までの道のりなど>
7月〜12月にかけて4回子山ホームを訪問し、野球、キャッチボール、お面作りのワークショップなど、子ども達と一緒に楽しい時間を過ごしました。
初めての児童養護施設への訪問にドキドキしていた私達ですが、子ども達の明るく生き生きとした姿からたくさんの元気をもらい、児童養護施設へのイメージが変わりました。
地域の方にも、子ども達の暮らしを肌で感じてほしいと考えていたところ、4年ぶりの子山ホームバザーが初めて子山ホームを会場として開催されることになりました。
一緒に楽しみながら、児童養護施設の日常を知る一助になればと、地域の子ども・大人と子山ホームの子ども達が交流できるレクリエーションスペースを作り、お面作りや子ども達の様子を撮影した動画を上映しました。
<作品タイトル>
Face-to-Face ~素顔とつながる~
<作品情報>
これまでの半年間、子山ホームでの一連の活動、プロセスすべてが作品です。
子ども達が存分に自分を表現し、のびのびいられるお面作りワークショップ/みんなで作ったお面や作品の数々/子ども達の生活をビビッドに伝える記録動画/バザーでの子山ホームの子ども達と地域の交流の場/子山ホームや子ども達について知ってもらうリーフレット
<作品の概要>
子山ホームでの一連の活動が作品にはなりますが、「子ども達をありのまま肯定できた」「バザーで地域との繋がりを育めた」ことが、私達の作品の中心になります。
バザーでの映像上映では、まるで映画の主役になったように映像に映る自分自身を見てはしゃぐ子ども達の姿が印象的でした。
子ども同士が楽しそうに交流する姿やお面作りに熱中する姿など、子どものもつ無邪気さやパワーは周囲の大人も笑顔にし、場を温かいものにしました。子どもからも大人からも「ここに来てよかった」の声が聞けたことがとても嬉しいことでした。
来訪者へのインタビューでは、学生時代に子山ホームに遊びに来たことがある、といった方も複数いました。子どもの時に交流し、いいイメージがあると大人になっても変わらないことから、継続的なリアルな交流の必要性を感じました。
<全体を通してのチームの感想>
「子ども達が社会に出た時、少しでもよりよい地域、社会で暮らしていけるように、児童養護施設で暮らす子ども達のことを知ってほしい」。子山ホームの受け入れ担当である池口さんからいただいたメッセージをどう実現するのか、「誰に」「何を」「どう」伝えるか、チームの中で非常に悩みました。
記録映像は、ありのままの子ども達が伝わりインパクトが大きい一方で、個人情報や子ども達の安全という壁があり広く一般への公開が難しい。そうした中で、リアルな交流を実現できたバザーの開催はまさに時機を捉えたものでした。
一方バザーに来訪していた卒園生からは、卒園後、社会の偏見の目に苦しんだことや施設の生活を社会に知ってほしいという声をいただきました。
課題は残しながらも、私達一人ひとりがこれからも社会的養護の子どもたちに関心を持ち続け、それぞれの立場から発信し、社会を変えていく実践を続けていきたいと思います。
(文責:社会福祉法人 チルドレンス・パラダイス 児童養護施設 子山ホームチーム)
社会福祉法人 チルドレンス・パラダイス 児童養護施設 子山ホーム
<実習先の概要>
子山ホームは、千葉県いすみ市にある海が見える丘の上に建っている児童養護施設です。千葉県内の2歳から18歳までの、様々な事情により家庭で育つことのできない子ども達49名(2024年3月6日現在)が、9つのホームに分かれて生活をしています。それぞれのホームでは、保育士や指導員とともに6〜7名の子ども達が、性別も混合、年齢も縦割りに1つの家庭のように構成されています。
<実習の様子・テーマ設定までの道のりなど>
7月〜12月にかけて4回子山ホームを訪問し、野球、キャッチボール、お面作りのワークショップなど、子ども達と一緒に楽しい時間を過ごしました。
初めての児童養護施設への訪問にドキドキしていた私達ですが、子ども達の明るく生き生きとした姿からたくさんの元気をもらい、児童養護施設へのイメージが変わりました。
地域の方にも、子ども達の暮らしを肌で感じてほしいと考えていたところ、4年ぶりの子山ホームバザーが初めて子山ホームを会場として開催されることになりました。
一緒に楽しみながら、児童養護施設の日常を知る一助になればと、地域の子ども・大人と子山ホームの子ども達が交流できるレクリエーションスペースを作り、お面作りや子ども達の様子を撮影した動画を上映しました。
<作品タイトル>
Face-to-Face ~素顔とつながる~
<作品情報>
これまでの半年間、子山ホームでの一連の活動、プロセスすべてが作品です。
子ども達が存分に自分を表現し、のびのびいられるお面作りワークショップ/みんなで作ったお面や作品の数々/子ども達の生活をビビッドに伝える記録動画/バザーでの子山ホームの子ども達と地域の交流の場/子山ホームや子ども達について知ってもらうリーフレット
<作品の概要>
子山ホームでの一連の活動が作品にはなりますが、「子ども達をありのまま肯定できた」「バザーで地域との繋がりを育めた」ことが、私達の作品の中心になります。
バザーでの映像上映では、まるで映画の主役になったように映像に映る自分自身を見てはしゃぐ子ども達の姿が印象的でした。
子ども同士が楽しそうに交流する姿やお面作りに熱中する姿など、子どものもつ無邪気さやパワーは周囲の大人も笑顔にし、場を温かいものにしました。子どもからも大人からも「ここに来てよかった」の声が聞けたことがとても嬉しいことでした。
来訪者へのインタビューでは、学生時代に子山ホームに遊びに来たことがある、といった方も複数いました。子どもの時に交流し、いいイメージがあると大人になっても変わらないことから、継続的なリアルな交流の必要性を感じました。
<全体を通してのチームの感想>
「子ども達が社会に出た時、少しでもよりよい地域、社会で暮らしていけるように、児童養護施設で暮らす子ども達のことを知ってほしい」。子山ホームの受け入れ担当である池口さんからいただいたメッセージをどう実現するのか、「誰に」「何を」「どう」伝えるか、チームの中で非常に悩みました。
記録映像は、ありのままの子ども達が伝わりインパクトが大きい一方で、個人情報や子ども達の安全という壁があり広く一般への公開が難しい。そうした中で、リアルな交流を実現できたバザーの開催はまさに時機を捉えたものでした。
一方バザーに来訪していた卒園生からは、卒園後、社会の偏見の目に苦しんだことや施設の生活を社会に知ってほしいという声をいただきました。
課題は残しながらも、私達一人ひとりがこれからも社会的養護の子どもたちに関心を持ち続け、それぞれの立場から発信し、社会を変えていく実践を続けていきたいと思います。
(文責:社会福祉法人 チルドレンス・パラダイス 児童養護施設 子山ホームチーム)
講師プロフィール
建築家 / t e c o