1993年佐賀医科大学卒業。横浜市立大学医学部附属病院にて初期臨床研修終了後、国立横浜病院精神科、神奈川県立精神医療センター、横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所の司法精神医学研究部室長、同 自殺予防総合対策センター副センターなどを経て、2015年より現職。2017年より国立精神・神経医療研究センター病院薬物依存症センター センター長を兼務。
日本社会精神医学会理事、日本アルコール・アディクション医学会理事、日本精神科救急学会理事。
主著に、「自傷行為の理解と援助」(日本評論社, 2009)、「アディクションとしての自傷」(星和書店, 2011)、「自傷・自殺する子どもたち」(合同出版, 2014)、「アルコールとうつ、自殺~『死のトライアングル』を防ぐために」(岩波書店, 2014)、「自分を傷つけずにはいられない」(講談社, 2015)、「もしも「死にたい」と言われたら―自殺リスクの評価と対応」(中外医学社, 2015)、「薬物依存症」(筑摩書房, 2018)、「誰がために医師はある―クスリとヒトの現代論(みすず書房, 2021)、「世界一やさしい依存症入門」(河出書房新社, 2021)がある。
- 必修科目
- ケア原論
2023
7/3
ケア原論4「わが国の薬物対策に欠けているものは何か?」
講師:
松本 俊彦(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長/同センター病院 薬物依存症センター センター長)
◾️講義概要
今回の講義では、薬物対策の基本として、「供給低減supply reduction」「需要低減demand reduction」「二次被害低減harm reduction」の3つの構成要素について概説した上で、わが国の薬物対策に何が欠けているのかを考えたい。
また、今日における薬物規制は決して健康被害の重篤さに依拠してて行われているわけではなく、歴史的もしくは文化的な事情に依拠する部分が多いことを説明するつもりである。加えて、薬物使用・所持の犯罪化が悩みを抱えるマイノリティを孤立させ、社会の分断を加速させる危険性を孕んでいること、さらには、行き過ぎた予防啓発が実は差別や偏見の温床であることを主張するつもりである。
最後に、薬物依存症は「孤立の病」であり、その回復に必要なのは、盲目的な禁止ではなく、社会との「つながり」が必要であることを訴えたいと考えている。
今回の講義では、薬物対策の基本として、「供給低減supply reduction」「需要低減demand reduction」「二次被害低減harm reduction」の3つの構成要素について概説した上で、わが国の薬物対策に何が欠けているのかを考えたい。
また、今日における薬物規制は決して健康被害の重篤さに依拠してて行われているわけではなく、歴史的もしくは文化的な事情に依拠する部分が多いことを説明するつもりである。加えて、薬物使用・所持の犯罪化が悩みを抱えるマイノリティを孤立させ、社会の分断を加速させる危険性を孕んでいること、さらには、行き過ぎた予防啓発が実は差別や偏見の温床であることを主張するつもりである。
最後に、薬物依存症は「孤立の病」であり、その回復に必要なのは、盲目的な禁止ではなく、社会との「つながり」が必要であることを訴えたいと考えている。
講師プロフィール
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長/同センター病院 薬物依存症センター センター長