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  • ケア原論
2017
11/25

介護の目的論の理解と対象論

講師: 飯田大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
「介護・看護者が自ら考え、判断するケア」とはどういうことか、具体的な例を元に考えました。最初のお題は『インフルエンザに感染して発熱した寝たきりの女性宅に訪問介護に行くとしたらどんなケアをする?』。身体を拭く、水分を摂る…受講生が例を挙げます。飯田さんは「なぜそのケアが必要なのか?」「水分とは具体的には何?その温度は」「身体のどの部分から拭く?それはなぜ?」…さらに具体性と根拠を求めます。やりとりを通じて、ケアだと思っていることがケアの基準やエビデンスに基づかない“なんとなく”の選択であったり、対象者に最適ではない場合もあることに気づきます。

私たち人間は見た目も生活スタイルも十人十色ですが、睡眠や発熱が起こる仕組みなど、生物としての人間の体のメカニズムは共通しています。ケアは、その共通メカニズムへの適切な対応があって初めて意味がある、と飯田さん。ケアというと「優しさ」「真ごころ」などの形容詞がつき、丁寧さが大切な要素と思いがちです。しかし、本当の意味での優しさを実現するには、所作以前に、ケアする人が自分自身の頭で考えること、その際に考える基準(ものさし)と判断の根拠(エビデンス)を持つことこそが重要であると感じました。

講師プロフィール

社会福祉法人 福祉楽団 理事長

飯田大輔

1978年千葉県生まれ。東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了(学術)。
2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立。特別養護老人ホーム等の相談員や施設長などを経て、現在、理事長。
2012年、障害のある人にきちんとした仕事をつくるため株式会社恋する豚研究所設立、現在、代表取締役。京都大学こころの未来研究センター連携研究員、東京藝術大学非常勤講師。
主な論文に「クリエイティブなケア実践の時代へ 『ケアの六次産業化』という視点」(週刊社会保障第2782号)。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。