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2023
2/8

ケア実践場面分析演習 作品【あの時の自分と今のわたし】

講師: 金野千恵(建築家/teco)
<実習先>
一般社団法人 マザーズ・コンフォート


<実習先の概要>
千葉市若葉区を拠点に妊娠期からの母親支援や、10代の女性の居場所づくりなど、孤立しがちな女性たちを支える活動を展開。行政、生活困窮事業千葉市生活自立仕事相談センター、地域支援団体、医療(精神科、産婦人科)、学校、専門機関マザーズハローワーク等に、必要に応じて同行するなど、様々な機関と連携しています。食材の支援や、こども食堂と連携をしてパントリーも届けています。


<実習の様子・テーマの設定までの道のりなど>
代表の大谷さん、田中さんに活動や自身の経験についてお話を伺うとともに、活動拠点や田中さんが個人で運営するこども食堂、アウトリーチの現場などで取材を行ないました。当初は、夜の街を車でまわり、そこで過ごす女性たちに声をかけて生活必需品や食事などを提供、必要に応じ保護する「ぐるぐるカー」という活動や、実際に困っている女性の状況について、より多くの人に興味を持ってもらえるような人目を引く作品を作ることを考えました。しかし、取材を重ね、そこで得られた心に刺さる言葉の数々や、グループメンバーで振り返る中で語られた自分自身の経験や思いなどを、作品として表現したいと考えるようになりました。


<作品タイトル>
あの時の自分と今のわたし


<作品について>
代表である大谷さん・田中さんに向け、2人の言葉や姿を受けて私たちが感じたことを伝えたいと思います。
2人との関わりの中でグループメンバーはそれぞれ心を動かされ、それを語り合う中で最終的には個々人の経験や葛藤、痛みといったものを吐露するに至りました。その過程は、作品タイトルにあるように「あの時の自分」の経験を振りかえり、「今のわたし」を少し認めてあげられるような作業だったように思います。
誰かの存在が呼び水となり「自分自身を安心して表現」している私達の姿がそこにあり、それはまさにマザーズ・コンフォートが実践していることの一つであると思いました。
マザーズ・コンフォート関係者や私たちの中で生まれた「語り」を表現し、そこからまた、新たな誰かへのつながりが生まれる可能性を含め、発表したいと考えました。


<全体を通してのチームの感想>
実習を通して、今まで触れることのなかったケアの世界の大変さを知って、維持方法や、社会への広め方などを考えるきっかけになりました。
また作品作りを通して、過去の自分たちを振り返り、ふと口をついて出た言葉の力を知るとともに、別世界にいると思っていた女の子達を身近に感じるようになりました。
マザーズ・コンフォートとの関わりにより、宝物のような言葉を沢山もらい、生き方の核を見つめ直す時間となりました。

(文責:マザーズ・コンフォートチーム)

 

講師プロフィール

建築家/teco

金野千恵

1981 年神奈川県生まれ。2011 年東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。2013-16 年 日本工業大学助教。2015 年より t e c o を共同で設立。現在、東京大学、東京藝術大学など゙にて 非常勤講師。住宅や福祉施設の設計、まちづくり、アートインスタレーションを手がけるなかで、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品に住宅「向陽ロッジアハウス」、訪問介 護事業所「地域ケアよしかわ」(2014)、「幼・老・食の堂」など。2021年より、京都工芸繊維大特任准教授。