第14回定例会 「環境づくりと場づくり」のパターン・ランゲージ
開催日:2021年7月17日(土)
NEXT DOOR第14回定例会は、「環境づくりと場づくり」をテーマとして4期生の加藤さんに登壇いただきました。「パターン・ランゲージ」を用いた方法論が、ワークショップも交えて披露されました。
加藤さんは東京藝術大学を卒業後、ベネッセグループの(株)ベネッセスタイルケアで有料老人ホームの企画・設計・デザインを担当しています。関わった事例として、一見するとホテルや美術館のようなデザイン性の高い施設が紹介されました。
ベネッセスタイルケアでは、介護・保育における経験・知見を継承し、理念と行動をつなぐため、マニュアルのような記述方法ではなく「パターン・ランゲージ」という言語化の手法を用いています。そうした取り組みを書籍・カード・Webサイトとしてアウトプットした『その方らしさに寄りそった環境づくりの手掛かり』が紹介されました。
これは、高齢の方が居心地よく過ごせる環境に着目し、環境づくりでどのように支援することができるかをまとめたパターン・ランゲージです。例えば、「一脚の椅子はミクロコスモス」というパターンでは、高齢者ホームの何気ない生活動線の中に家具をレイアウトすると、そこで新聞を読んだり、コーヒーを飲んだり、他の人と会話をする場が自然と開かれることが書かれています。
このような体験を共有するために、参加者が自分自身の経験を直接画面に書き込むミニワークショップが行われました。
先ず、「環境づくり」と聞いて、何をイメージしますか?
上記の事例では、どこからどこまでが環境づくりですか?ケアですか?
こうした環境づくりをしなかったら、ホームで生活される方はどうなってしまいますか?
パターン・ランゲージのツールは、読み手が当事者意識を持ちやすいように、簡潔なセンテンスと影絵のようなイラストによって表現されています。
目標は高くてもハードルが低くなるように、目の前の状況に対してパターンを手掛かりに創造的な行動が支援され、「kaigo ⇔ creative」のループを継続的に再現性を持って回すことが大切だと加藤さんは感じています。また、こうしたツールを用いることによって生まれる仲間との学び合いが、一人ひとりの自己肯定感にもつながっていきます。
DOORで学んだケア原論やナイチンゲールの「看護覚え書」にも通じる、“環境づくり”の大切さを感じられた刺激的でクリエイティブな時間となりました。(世話人安東)
〈参考URL〉
・「その子の宇宙が拡がり続けるためのことば」
https://www.benesse-style-care.co.jp/method02/
→保育の実践から生まれたパターン・ランゲージ
・「あなたと生きる世界をつくることば」
https://www.benesse-style-care.co.jp/method03/
→認知症ケアの実践から生まれたパターン・ランゲージ