第27回定例会 作業療法士特集 兵庫県たつの市T-SIPの地域活動&みんなdeトーク!
開催日:2022年8月27日(土)
DOORの受講生には、毎年作業療法士がいます。第27回定例会では、世話人の作業療法士である3期生杉本と5期生大山が、同じく作業療法士である兵庫県たつの市のNPOいねいぶる理事長の5期生宮崎さんをお迎えし、Tatsuno-Social Inclusion Project(T-SIP)での活動について伺いました。オンライン開催ですが、自作の紙芝居とキーワードボードという超アナログを駆使して、1時間半たっぷりとお話しいただきました。
T-SIPでは障害のあるご本人とその家族、障害の有無関係なく子どもから高齢者まで、誰もが地域で混じり合って暮らしていくことを少しずつ形にしています。宮崎さんが病院勤めの頃、30年間入院していた患者さんを退院に導いたことをきっかけに、病院という枠の中ではなく地域での居場所を作ることを始め、徐々に現在の形になっていきました。
精神や知的、身体障害者の就労支援としてのお弁当屋さんから、聾唖の方が店員のレストランでは指さしや手話で自然と挨拶やコミュニケーションが行われる「サイニング・デイ」、子どもたちがお母さんの晩ご飯を作って待つ「コドモキッチン」、特別支援学校の生徒と先生で作る「光都0円ストア」、防災をきっかけに地域とつながる「カエルキャラバン」、誰もが楽しめる新しいユニークなスポーツ大会「らくスポ」、障害者の遊び支援「ユニバーサルSUP/プロジェクト」、高齢者同士の新たなつながりを作る「じじつなぎ」、これらのプロジェクトの企画・会議などすべてをさらけ出す雑談系ラジオ「そもそもラジオ」などなど、2012年から10年間でたくさんのプロジェクトが行われました。
たつの市では地域でこれらの「点」の運動が広がり、グラデーションしながら大きな「模様」を作りつつあります。困っている1人の方から始まる、「個」と「公」の間のプロジェクトは、組織化せずその場その場で集まる人と一緒に作り上げていきます。どのプロジェクトも誰もが気持ちよく、暮らしやすい街がデザインされていました。
チャットや事前の質問に答える形で進行しましたが、各内容の詳細については紹介しきれず、悶絶した人もいたに違いありません。引き続き、ホームページで復習をされることをおススメします。
つい「みんな」を何とかしようと大きなことを考えがちですが、まずは目の前の1人を暮らしやすくするために、たくさんの人の力を借りながらプロジェクトを作り上げていくことで、いつのまにか「みんな」の暮らしやすさにつながっていくということがわかりました。
また、「障害者」や「高齢者」との隔たりは、社会や支援しようとしている専門職が作ってしまっている価値観の見えないバリアにより生じることも改めて感じました。きっと次も同じテーマで開催できることを信じて、第27回の定例会はお開きとなりました。(世話人杉本、大山、川原)