第23回定例会 「こどもハッシン!―呼吸器生活向上PROJECT―」地域で暮らす医療的ケア児たち
開催日:2022年4月23日(土)
NEXT DOOR第23回定例会は、「こどもハッシン!―呼吸器生活向上PROJECT―」の代表を務める鈴木妙佳子さんをお迎えして、医療的ケア児の日常とはどのような暮らしなのか、外からでは見えにくいあれこれを当事者ならではのリアルな言葉でお話しいただきました。
「医療的ケア児」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか。
出会ったことがない、大変そう、と思われることが多かった、と語る妙佳子さんも以前は、言葉を発しない我が子を自分が24時間完璧にケアしなければというプレッシャーや、思うように子育てが出来ない現実に苦悩し、家に籠もりがちでした。
しかし、息子さんが咽頭気管分離手術を受けたことで誤嚥の心配が消え、飲み込むことは出来なくても味わうことができるようになり、「美味しい」食事が家族の楽しみのひとつとなりました。また、人工呼吸器を付けるようになってからは、息子さんの呼吸が楽になり、安全に過ごせるようになったので出来ることも増えました。医療従事者や支援学校の先生と一緒に、「出来ないことに目を向けるのではなく、出来る事を伸ばしていく」ことに挑戦していきます。
ある日ふと、息子さんが学校で制作した様々な作品を眺めていた妙佳子さんは気づきました。対外的に見せたり展示するものには青や緑を、家に持ち帰るものにはピンクをよく使っているのではないか。「ママがピンクを好きだから?」と尋ねると、大きく首を動かし「そうだ」という強い気持ちを表してくれたそうです。「ママを喜ばせたい」という想いがしっかり「伝わった」という自信から、息子さんの意思表示はそれから更に分かりやすくなり、今では普段それほど関わりのない人にも気持ちを伝えられるようになりました。
2021年に発足した「こどもハッシン!―呼吸器生活向上PROJECT―」では、医療と共に生きるこどもたちが自らの力で活動(発進)をし、それぞれの方法で想いやアイデアを伝え(発信)ていくことを目指し、様々なことにチャレンジしています。同じ街、同じ社会に多様な人が生きていることを知ってもらうため、自分たちの方から外に出て行こう!と積極的にお出かけも。
巨大スクリーンで8K映像を堪能できる「資生堂グローバルイノベーションセンター」、外出困難者である従業員が分身ロボット「OriHime」を操作して接客する「分身ロボットカフェDAWN ver.β」へ同行した4期生グループ「URaKIDo」のメンバーからは、「場を楽しむこどもたちのエネルギーの強さに引き込まれる。こどもたちに会うと周りの大人まで変化が起こる」との感想があがり、それを受けた参加者全員で「こどもたちと一緒にどんなワクワク体験をしてみたいか」について、アイデアを出し合うことができました。(世話人川上、川原)