第36回定例会 日本初!脳卒中や頭のけがなどで言語を失う障害「失語症」の回復に「朗読劇」で挑む!

NEXT DOOR 世話人

開催日:2023年 6月24日(土)

【講師と演題】
・石原由理さん(戯曲翻訳家・脚本家、一般社団法人ことばアートの会 代表理事) 

第36回定例会は、『日本初!脳卒中や頭のけがなどで言語を失う障害「失語症」の回復に「朗読劇」で挑む!』と題して、戯曲翻訳家・脚本家の石原由理さんをお迎えし、お話をお聞きしました。 

全国に50 万人いるとされる、見た目は健常者と変わらない “見えない障害” 「失語症」。
石原さんも、2013年に脳梗塞で倒れ、失語症を発症した当事者です。戯曲翻訳家・脚本家という “ことば” を扱う仕事をしていた者が言葉を失う、その衝撃や苦しみは想像を絶します。しかし、そんな苦しさを救ったのも、また “ことば” のチカラでした。 

これまでの経験や「ゆるやかなつながり」で結ばれた人たちとのご縁から、「朗読」に再び出会い直して日々リハビリを実践。ご自身の言葉が少しずつ回復されていった経験をもとに、同じ苦しみをもつ人のために「失語症者のための楽しい朗読教室」を主宰します。
2023年7月には、朗読教室で学んだ失語症者・高次機能障害者による朗読群像劇『言葉つなぐ明日へ』の企画・脚本を手掛けました。この上演を機に、石原さんの活動は多数のメディアに取り上げられ、ますます耳目を集めました。 

石原さんが取り組む「朗読」とは、相手に向けて、感情を込めながら、おもてなしの心で物語を届けることです。
この極めて人間的な営みは、従来の言語聴覚療法(ST)のアプローチを超えて、「人の心を動かすアートの力」が「人が本来持っている回復の力(レジリエンス)」を呼び起こす可能性を感じさせます。そして、”ことばアート“の可能性は、そのまま”藝術×福祉”というDOORが扱うテーマや可能性とも重なります。 

この定例会には、DOOR修了生に加え、とびラー(とびらプロジェクト)やトリばァ(たいけん美じゅつ場VIVA)、札幌アートコミュニケーターズなど各地のアートコミュニケーターも参加しました。
石原さんは、翌週に朗読群像劇のイベントを控えた忙しい最中でのご登壇でしたが、それゆえに活動に対する想いや、ことばとアートのチカラについてのお話も熱を帯び、終了時間が過ぎた後も「放課後」として多くの参加者が残って、遅くまで活発な議論・交流が行われました。(世話人 安東)