横浜国立大学 × DOOR to DOOR

コンタクト:惑星のなかのこの身体 ―現代芸術論―

第1回:11月12日(火)13:00-14:30

講師: 真下 貴久(訪問介護事業所たかのわ 代表)
初回はALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者である真下貴久さんにご登壇頂いた。
現在は当事者の立場から人との出会いや繋がりは病気を乗り越えることができるという想いで活動されている。

講座では真下さんが制作した「喉の渇きを癒すプロセス」という脚本を用いた。
家を出てコンビニに飲み物を買いに行き、ペットボトルを開けて飲むという何気無い日常が、当たり前を失った当事者にとっていかに困難かが描かれている。学生一人が代読したことで、他の受講生もより実感を伴って情景を思い浮かべたことだろう。

禅の「放てば手に満てり(手放してこそ大拙なものが手に入る)」を引き合いに、「相手を思いやり伝わりやすいボールを投げる事ができれば、言葉がなくてもコミュニケーションが成立する。失うばかりではなく得る事を知った一番初めのことだった」と締めくくられた。

講座の後半では、教室後方の黒板に受講生各自が意見や疑問を書いて視覚化し、全員で共有した上で対話の時間を設けた。
「真下さんは自分たちが普段使わないような表情でコミュニケーションをとっている。できない事があるとおっしゃったが、むしろ自分たちより表現力が豊かだと感じた」という意見が印象的だった。

講師プロフィール

訪問介護事業所たかのわ 代表

真下 貴久

1980年12月大阪府堺市生まれ、2015年2月 34歳の時にALSを発症。
現在ALS当事者の立場から、「人との出会い、つながりは、病気を乗り越えることができる」との思いを持って活動を続ける。2019年8月より自ら訪問介護事業を起業。