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2022
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ドキュメンタリー映像演習 後期⑥上映会

講師: 森内康博(東京藝術大学美術学部 非常勤講師)
最後の授業・上映会では、日比野克彦教授と橋口亜希子先生、そして森内先生が講評を行いました。

感染対策を十分に行なった上でDOOR事務所で実施し、来場が困難な方はオンラインでの参加となりました。

「センサリールーム等を必要とする当事者の声を届けるインタビュー作品」として、様々な声が映像によって届けられ、チームごとに映像を上映した後は「対話の時間」とし、先生と受講生が映像を介して話を深めていきました。

ご家族を取材する作品は、丁寧に関係性を築き、なかなか撮影ができないような日常を撮らせてもらったり、取材を行ったからこそ、偶然生まれた場面などを見ることができました。なかなか普段触れることができない、お子さんたちの暮らしや、ちょっとした動作、ご家族の声、たくさん教えてくれました。また、どう接したら良いのか、という率直な視点が入っている作品もあり、興味深く見ることができました。

取材などが思うようにいかなかったことや疑問をそのまま自分たちのドキュメントとして発表した作品もありました。受講生からはむしろ共感の声があがり、「取材をすること」の困難さや、カメラを向けること、映像にまとめることの難しさを学びました。

感覚過敏の疑似体験を制作するチームは、1日しか撮影することができない現場で、緊張感のある撮影の経験を得ました。このチームのみ、台本を作り自分たちで出演も行うという制作でしたが、ドキュメンタリー映像ともまた違う学びを深めました。特に、社会人と学生の混合チームとして、とても良い関係性を育めたのではないかと思います。

ワークショップの企画から行うチームは、「カメラを向けること」のあり方からディスカッションを深め、匿名で顔を映さない作品づくりを行いました。こちらのチームも1回きりの実施で、綿密な準備を行いながら作品を完成させることができました。

2時間で想定していた上映会は、対話の時間が大幅に伸びてしまいましたが、たくさんの「声」を聞くことができ、学びが深い上映会となりました。
長期にわたり取材や撮影にご協力いただいた皆さまへ、スタッフ・受講生一同、心より感謝申し上げます。受講生の学びや経験が、新たな声として社会の中で広がっていくことを願っています。

 

講師プロフィール

東京藝術大学美術学部 非常勤講師

森内康博

森内康博(もりうちやすひろ)
1985年生まれ。映像作家、映画監督、株式会社らくだスタジオ代表。
らくだスタジオプロデュースによるドキュメンタリー映画の制作や、CM・PV・アートプロジェクトの記録映像、また大学研究機関との映像アーカイブに携わる。

戦没画学生慰霊美術館「無言館」を題材としたドキュメンタリー映画『二十歳の無言館』(2016年)監督
東京都美術館 企画展「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」にて映像インスタレーション『Making of BENTO』(2018年)展示
電動車椅子サッカードキュメンタリー映画「蹴る」(2018年)プロデューサー
旧神奈川県立近代美術館 鎌倉の改修工事の記録「再生される白い建物ー 改修工事の軌跡 2017-2019」(2019年)監督
藤沢市湘南台文化センターこども館30周年記念事業 市民映像制作「SFショートムービー(プラネタリウム上映)」(2019年)企画、監修