「チーム石田」の活動

3期生 工藤亜希子
ケア実践場面分析演習という授業は、いくつかの実習先に数名のグループで伺い実習を行います。その中の1つとして、“石田祐貴さん“と言う実習先がありました。石田さんはトリーチャー・コリンズ症候群という疾患の当事者です。個人へ実習?何をするのか?先が全く見えないにも関わらず、そこに可能性と興味を惹かれた受講生4人が集まりました。
 話し合いを重ねていく中で、石田さんの『多くの人に自分の障害について知って欲しい』という思いを知りました。伝え方によって受け止め方や理解度も変わってくることから、障害について他者に理解してもらうための「伝え方」をテーマにすることにしました。
石田さん個人に焦点を当て、トリーチャー・コリンズ症候群についてのチラシ作成、座談会、小学校特別授業、YouTube、Instagram、note、アナログとデジタルの両面から様々な「伝え方」を試してみました。
2月のDOOR最終授業で報告し授業としての活動は終わりを迎えましたが、現在も活動は続けています。
チラシはその後も石田さんの講演会などで配っていただき、好評を得ています。YouTubeは2万回再生を超えました。コメント書込みも続いています。noteを介して講演依頼が来るようにもなりました。公立中学校からは、人権、障害、困窮、LGBTQ、高齢者など、多様な違いについて考える授業を行っている中で私たちの発信に共感をいただいての依頼でした。私立中学校からも様々な価値観があることや、違った価値観を持つ他者を受け入れるためにどうすべきか、生徒自らが課題を見つけ、その正解のない問いに向き合っていくことで思考力や、自発性を引き出す授業をしたいとの依頼でした。
私たちが座談会や小学校特別授業を行ったり、様々な方法で伝えたことが次へと繋がり
このような活発なやり取りとなり、DOORの授業という枠を越えての活動へとなっていきました。
はじめは石田さんと受講生4人でしたが、5人の“チーム石田“となりました。私たちの発信を受け止めてくださったり、活動に共感し伝える場を作ってくださることは、チーム石田の仲間が増えるということだと思います。チーム石田のメンバーが増えたら、石田さんの障害は無くなるのかもしれません。無くなるとまでは言えなくても今よりは良いとは言えると思います。障害とは何か?普通とは何か?私たちは社会へと発信し続ける意味があると思っています。だからこそ、この活動を大切に続けていきたいです。

※トリーチャーコリンズ症候群とは
生まれつき、あごやほお、耳などの顔の骨がうまく形作られない遺伝性の病気。 そのため、特徴的な顔をしており、聴覚障がいや呼吸障がいなどもある場合がある。