• 必修科目
  • ダイバーシティ実践論
2017
11/27

アーティストの活動・文化事業から考える5「人との関わりがアートをかたちづくっていくこと」

講師: 中崎 透(美術家)
美大では油絵を専攻していた中崎さん。ひとりコツコツと作品に向かう制作スタイルから、現在の多くの人と関わりながら作り上げるプロセスを表現の主題とするようになるまでを沢山の写真と共に紹介してくださいました。

「作品は“氷山の一角”のよう」と中崎さん。創作のヒントとなることが浮かんでから、作品として完成するまでには、最初のひらめきを紐解くことに始まり、リサーチ、試行錯誤…と長いプロセスがあります。「完成作品だけを見てもわからない、その途中の過程に関わることで初めて見えることもあるのではないか」「最終形の作品だけを見て意味があるのか」という思いを強くしたそうです。2006年からは「作品は口実にして、その過程である日常を制作する」という考え方を3人グループ「ナデガタ・インスタント・パーティ」の活動で具体化してゆきます。

「人が参加して初めて完成する」という作品も多く、人を巻き込む必要も当然出てきます。「絶対にこうあるべき」という制約は自身の中で排しつつ、参加する人に当事者意識を持ってもらうための枠組みをどう作るか、信頼関係を作るための説明会など、誠実に会い、巻き込んでゆく工夫も重ねているのが伝わってきました。

講師プロフィール

美術家

中崎 透

1976年茨城県生まれ。美術家。武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程満期単位取得退学。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに自然体でゆるやかな手法を使って、看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。展覧会多数。2006年末より「Nadegata Instant Party」を結成し、ユニットとしても活動。2007年末より「遊戯室(中崎 透+遠藤 水城)」を設立し、運営に携わる。2011年よりプロジェクトFUKUSHIMA!に参加、主に美術部門のディレクションを担当。