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  • ケア原論
2018
10/27

観察論からクリエイティブ介護論

講師: 飯田大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
 

終末期のケア
人間以外の生物は、死に伴う苦痛や不安はなく、終末期と死とは、自然現象過程として進行し完成する。しかし、人間の場合は自然放置によって良い「自然死」はつくれず、「自然」という状態も意識的に作らなければならない。そのためには「生活を整える」ケアが重要で、全臓器の調和をとりつつ死へと軟着陸をしようとする人の手助けをすることが大切です。

観察論
看護・介護においては看護・介護者が主体性をもって患者や利用者についての情報を発見し収集すべきものであり、ナイチンゲールは「もし、あなたが観察の習慣を身につけられないのであれば、看護婦になることを諦めたほうがよいであろう。」と観察の重要性を示します。なぜなら、患者や利用者の苦痛には2種類あり、病気などの症状からもたらせる苦痛と、療養生活の不備からもたらされる苦痛があり、後者の方が、はるかに苦痛で生命力の大きな消耗をもたらします。その苦痛を観察によって取り除いていくことがケアとして重要であり、看護・介護における観察とは病人の変化を読み取ることでもあります。

ケアのクリエイティビティ
20世紀は「科学」の時代であったが、21世紀は「クリエイティビティ」を探究する時代といいます。たとえば近代科学とクリエティビティと比べると、近代科学は「再現可能性」や「結果」を重視するのに対して、クリエイティビティは「一回性」や「過程」を重視します。まさにケアも個々に応じた「一回性」のケアの場面や、患者個人への対応の「過程」を重視します。これからは芸術家や音楽家、建築家、デザイナー、など知識産業に携わるクリエイティブな人材(クリエイター)と繋がっていくことが大切であり、ケアに内在するクリエイティビティを探求することが重要であると思いました。

講師プロフィール

社会福祉法人 福祉楽団 理事長

飯田大輔

1978年千葉県生まれ。東京農業大学農学部卒業。日本社会事業学校研究科修了。千葉大学看護学部中途退学。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了(学術)。
2001年、社会福祉法人福祉楽団を設立。特別養護老人ホーム等の相談員や施設長などを経て、現在、理事長。
2012年、障害のある人にきちんとした仕事をつくるため株式会社恋する豚研究所設立、現在、代表取締役。京都大学こころの未来研究センター連携研究員、東京藝術大学非常勤講師。
主な論文に「クリエイティブなケア実践の時代へ 『ケアの六次産業化』という視点」(週刊社会保障第2782号)。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士。