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2018
5/28

当事者との対話6「社会・人との関わりの中で生きること」

講師: 石田 祐貴(筑波大学 人間総合科学研究科 大学院生)
トリーチャーコリンズ症候群によって特徴的な顔貌をもつ石田さんは25歳。大学院に在籍、障害学を学んでいます。

トリーチャーコリンズ症候群の当事者の悩みは大きく二つある、と石田さん。まず、見た目の問題。特徴的な顔貌の為、人との関係性作りが難しい。驚きの視線で見られ、就職などが上手くいかないなどの困難があります。機能的側面としては、聴覚障害、発音障害。気道が狭く、呼吸困難を伴う場合があるため、人とのコミュニケーションが円滑にいかない。

しかし、この困難・悩みの根本は「人との関係」にあります。障害・問題が生じるメカニズムとは、当事者と人・社会・環境の間に困難が生じるため。つまり、見た目、機能に問題がある訳ではなく「見た目、機能を理由とした差別・偏見によって生じる困難」の故に生じるのです。

自身の気付きから、石田さんは、心のユニバーサルデザイン(人・社会)によって「困難」を和らげることができるのではないか、と考えているそうです。

社会が変わる必要がありますが、社会は変えにくい。当事者が自ら近づくことで相手を変えていく。石田さんは人と接し方を変え、自分の障害を伝え理解してもらうよう努め、関りたいと思ってもらえるよう、努力したといいます。

当事者と社会の両方が変わり歩み寄れば困難は小さくなる。自分が変わることによって共生社会が近づいてくる。(石田)

石田さんの将来の希望は、こどもたちや、これから先生になる人を教える教育者になること。「見た目問題」は、触れにくい現状にありますが、「人と人との繋がりが社会となる。一人一人が変わるだけで社会が変わる。今日学んだことを、身の回りの人々に話してくれれば嬉しい。」ということばが印象に残りました。

文字支援:特定非営利活動法人ホープ

講師プロフィール

筑波大学 人間総合科学研究科 大学院生

石田 祐貴

石田 祐貴(いしだ ゆうき)
1992年に大阪府にて生まれる。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程に在学。
生まれながら顔付近の骨の奇形が特徴的な症状としてみられる「トリーチャーコリンズ症候群」(Treacher- Collins syndrome)の当事者。「見た目問題」や「聴覚障害」について、自身のこれまでの経験を通して発信を行いながら、それらの問題に対する社会的認知度・理解の向上を目指して活動している。