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2019
4/22

ダイバーシティ実践論2「がんになっても自分らしく生きられる社会へ」

講師: 鈴木美穂(認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事  元日本テレビ記者・キャスター)
大学卒業後、日本テレビに入社した鈴木さん。
報道記者として働いていた24歳のとき、ステージ3の乳ガンが見つかります。
突然のがん発覚に動揺しているところに、次の患者が待っているから
早く出るように促されるような対応をされ、絶望感、不安感、孤独感、
不信感でいっぱいだったそうです。

治療中も鬱々としていたそうですが、もしいつか元気になったら、
今の自分のように苦しい思いをしている人たちのためになりたいと思い、
活動を始めていきます。

ここからの鈴木さんの行動力は凄まじく、記者としての経験が活かされた
行動力、実現力に驚かされました。

若年性がん患者を応援する団体、「STUND UP!!」を発足し、フリーペーパーを配布する活動や、がん患者向けのワークショップ「Cue!」をスタートし、カジュアルに習い事に行けるような場所を作っていきます。

活動の幅を広げていく中で、患者会国際交流(IEEPO) に出席した際、複数の人から、「マギーズセンター」を勧められます。
生きる歓びを失わず、「自分を取り戻せるための空間やサポートを」のコンセプトを掲げるマギーズに共感し、日本に施設を作ることに奔走します。

秋山正子さんと出会い、クラウドファンディングなどで資金を集めて、わずか2年ほどでマギーズ東京をオープン。
「HUG YOU ALL」がんに影響を受けた「人生」を丸ごと受け止める。マギーズは、鈴木さんが24歳の時に必要だと感じたことを実現しています。

その後も、あらゆる立場の人たちを掛け合わせ、がんと言われても動揺しない社会を目指したサミット、「CancerX Summit2019」を開催するなど、邁進していく鈴木さん。
ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)に寄与するには、知ること、想像すること、行動することをあげられました。

マギーズのように気兼ねなく相談でき、自分を受け止めてくれる場所の存在が
社会に求められていると感じました。

講師プロフィール

認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事  元日本テレビ記者・キャスター

鈴木美穂

1983 年、東京都生まれ。

2006年慶応義塾大学法学部卒業後、2018年まで日本テレビに在籍。報道局社会部や政治部の記者、 「スッキリ」「ミヤネ屋」 のニュースコーナーのデスク兼キャスターなどを歴任。

2008 年、乳がんが発覚し、2009年、若年性がん患者団体「STAND UP!!」を発足。 2016年には、東京都江東区にがん患者や家族が訪れ無料で相談できる 「マギーズ東京」をオープンし、これまで1万4000千人以上の患者や家族が訪問。

自身のがん経験をもとに制作したドキュメンタリー番組「Cancer Gift ~がんって、不幸ですか?」で「日本医学ジャーナリスト協会賞2017映像部門優秀賞」を、「マギーズ東京」で「日経ウーマンオブザイヤー2017チーム賞」を受賞。

2016年から PMDA運営評議会、2017年から厚生労働省「人生の最終段階における医療の普及啓発の在り方に 関する検討会」、2018年から厚生労働省「がんとの共生のあり方に関する有識者会議」「がん研究のあり方検討会」「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」都庁「AYA 世代がんワーキンググループ」など、行政の多数の委員会で委員を務める。

著書に、「もしすべてのことに意味があるならーがんがわたしに教えてくれたこと(ダイヤモンド社刊)」