• 必修科目
  • ダイバーシティ実践論
2017
5/22

共生社会を考える3「風テラスの活動を通じて」

講師: 浦崎 寛泰(弁護士)
「風テラス」はカゼテラスではなく、フウテラスと読みます。風は風俗の「風」、風俗で働く女性たちのための無料の生活や法律の相談会です。弁護士である浦崎さんに加え、福祉・心理の専門家も支援メンバーです。

自分や家族の病気、離婚、介護、借金。誰もが直面しうる問題であり、性風俗で働く女性も例外ではありません。しかし、自分の仕事について知られることを恐れて問題を抱え込み、勇気を持って行政の窓口に相談しても「まず風俗から足を洗うことから」と言われ相談を諦めるケースも多いそうです。

2016年現在で無店舗型性風俗店は19,000件。これは最大手のコンビニチェーンの店舗数に匹敵する数です。風俗で働くことの是非についての議論がある一方で、相当数の女性がその業界で働き、その中に明らかに福祉的法律的支援が必要な人がいるという現実があります。風俗店の「客待ちの待機部屋」に浦崎さん自ら出向き、仕事を隠さず、相談内容を他者に知られることなく、安全な空間で相談できる機会を提供しています。悩みがあるなら相談に出向くべき、とせず、問題の深刻化を防ぐには、支援する側のあり方も多様であるべきなのではないでしょうか。

講師プロフィール

弁護士

浦崎 寛泰

PandA法律事務所代表。/ 1981 年生まれ。2005年弁護士登録。法テラスの常勤スタッフ弁護士として壱岐市(長崎県)や千葉市で活動。法テラス時代に多くの障害者を支援した経験から、東京都千代田区飯田橋に障害者支援に力を入れるPandA (ピー・アンド・エー)法律事務所を開設。「弁護士とソーシャルワーカーの新しいカタチをデザインする」をテーマに、「風テラス」など司法と福祉が連携する様々な活動を展開している。