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2018
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ケア原論 講義のまとめ

講師: 飯田大輔(社会福祉法人 福祉楽団 理事長)
ケア原論の最後の授業は、この一年間のDOOR全体の講義で印象に残ったことを思い出すことから始まりました。受講生からは、実習で感じたこと、授業のこと、制度や現実の矛盾、学んだことを実社会で実現することの難しさなどの意見が出ました。次のテーマは自分の中にある排除心、差別心、レイシズムについて考える、ということでした。数分間の沈黙の後、怖いと排除の感情が近いこと、相模原の事件が他人事ではない、などの声が上がりました。

最後に飯田さんは受講生たちに語りかけました。

ダイバーシティとは、簡単に実現するものではない。例えば日常の中にいる差別的な考えを持つ人や「暴力」をふるう人とどのようにして共生していくかということでもある。自分がどんなところに排除心を持っているか、自分の志向を客観的に理解していれば、そのような場面や瞬間にであった時に俯瞰して見ることができ、安直な行動に移らないようになる。一連の講義で伝えたかったのは直ぐに現場で活かせることではない。明日現場で役に立つことは明後日役に立たなくなるから。方法論は時代によって変わって行くが、人をどう捉えるかということやチームワークの重要性のような、物事の本質は変わらない。思考の基底にあるものを自分自身で作って行くことができるかどうかが重要である。それを社会のなかで活かすには長い時間がかかるけれども。

自分自身を俯瞰して得たものをヒントにして学び直すこと。この社会のなかでの行動や回路が問われている。受講生一人一人が発信者やつなぎ役となって住みやすい社会ができればいい、と思っている。