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2018
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アートとしてのケア技術3「介護保険制度におけるケア環境、脳科学的アプローチ、そして地域デザイン」

講師: 加藤忠相(あおいケア 代表)
介護・医療の現場とは、本来は目の前のおじいさん、おばあさんに対してどうするか、事情や状況が異なる高齢者に対し、マニュアルではなく職員自身が考え、行動することであると加藤さんは考えています。

記憶には①意味記憶、②エピソード記憶、③手続き記憶、④呼び水記憶の4種の段階があります。認知症は①②が失われ易い病気と考え、障害が出にくい③④にどれだけ働きかけることが出来るかが自立支援の鍵となる。それをあおいけあのケアの基本としているそうです。とはいっても高齢者を楽しませるケアは行ないません。料理が得意、植木職人、銀行員、大工、手芸が好きなど高齢者の性格やパーソナル情報を知り、得意なことができるよう手伝います。環境さえ整えば多くの高齢者は役割を持ち、周囲をも楽しませることがでるようになります。例えば駄菓子屋さん、餅つき大会、手芸品の制作販売を、仕入れや制作、販売までを高齢者自らが行う、あるいは清掃など地域活動へ参加するなど。介護によって高齢者は被介護者ではく地域資源となりうるというご自身の経験を、お話しくださいました。

介護は、療養上の世話に始まり自立支援、尊厳を支えるケア、地域包括ケアに至りました。近い未来に認知症の罹患者は多数派となります。地域共生への社会設計を急がなくてはならず、介護者はその多くを担っているという加藤さんの強い思いが伝わる講義となりました。