• 必修科目
  • ケア原論
2017
12/16

アートとしてのケア技術1 在宅でささえる医療

講師: 佐々木淳(医療法人社団悠翔会  代表医師)
生物学的な老衰で亡くなる人はおよそ5%、突然死は15%だそうです。8割の人は、亡くなるまでに何らかの体調悪化と入院療養を繰り返す可能性が高いことになります。問題なく日常生活が送れる年齢(健康寿命)と、亡くなる年齢(実際の寿命)の差はおよそ10年。この人生最後の時をどう生きるか。病気があっても安心してその人らしく生きるサポートをしたい、と佐々木淳さんは在宅診療に取り組んでいます。

若者なら1ヶ月で復帰できる骨折も、高齢者なら3ヶ月。筋力が減少し、結果として要介護度が上がる人も少なくありません。治っても違う部分が悪化するなど、長期入院自体がリスクと捉え、佐々木さんのチームでは、食生活や服用する薬の管理、筋力維持など生活面を整えることでそのリスクを減らし、「治す」ではなく「悪くしない」治療で、これまでの生活を変えることなく、生活の質を守ることを目指しているということです。

そして誰にでもいつかはやってくる最期の時。それをどれだけ豊かなものにできるかは私たち次第、と佐々木さん。医師は治療の可否は判断しますが、どう過ごすかを決めるのは本人や家族だからです。具体的にイメージしてみる、「こんな時はどうしたい?」と日頃から家族で話をする。納得感ある選択をするには、まず自分がそのテーマに向き合うこと、誰かと共に考えるというプロセスが大切なのだと感じました。